昭和30年、下郷村と玉米村が合併した当時の人口は約9,700人でありましたが、この間毎年100人位の人口減少が続き、合併以来この59年間で約5,900人が減少したことになり、今は3,800人となってしまいました。更に、このまま推移すると10年後の平成36年には2,800人となるであろうし、更に10年後には1,800人となり、町の中心地はもちろん、7つある集落の中心地も崩壊の危機に直面するであろうことが懸念されるところであります。
従って、この人口減は「地域の人たちにとっては、将来の生活に大変大きな不安を抱かせるものであり、明るい希望がもてない、あるいは期待できない」という大きな問題を抱えていくことになります。
例えば、それは小中学校の廃校や統合が進み、それに伴って地域から子供たちの声が聞かれなく寂しくなったという声、また子供たちの数がどんどん少なくなって行くという不安、著しい少子化や高齢化により、人々の集まるイベントを計画しても、かつての半数も地域の人たちが集まってくれない、隣近所が遠くなっていく等々からも様々な問題が発生してくることが今から想像できるのであります。
同時に人口減は、地域経済への影響も計り知れないほど大きなものがあります。それらは、少しでも時間を先延ばししながら地域全体の共通した課題として理解し合い前に進んでいかなければならない大事なことであると思っております。
そのことを考えると、人口減少や少子高齢化を食い止めることはできなくても、自然豊かな先祖から与えられたこの地域を訪れてくれる、より多くの人々をいろんな方法で、工夫しながら誘客に努めていく必要があろうかと思います。そして、そのことを足がかりとして、地域を元気づけて行くことになると信じているところであります。
そのための手段として、この度「特定非営利活動法人黄桜の宿」を起ち上げ「空き家」を活用した簡易宿泊施設を設置開設することで取り組もうとしているところであります。
地域内には宿泊施設が一軒しかないという現実、遠方から親戚や友達を迎えるにも近くに宿泊するところもない、工事現場に携わる人々しかり、お盆やお彼岸などに先祖の墓参りに来られる人々にしても足が遠のいてしまう等々、どうしても宿泊施設の必要性を痛感するのであります。
更にはその他の理由としても、当地域には様々な遺跡、県指定の文化財、パークゴルフ場等の観光資源があり、宿泊施設があればもっともっと宿泊者と地元住民との交流を図ることが出来ると思うし、大きな効果が期待でき、それらの他にも地元農家と連携しながら「グリーン・ツーリズム事業」と抱き合わせにより推進して行くことで益々地域の経済効果や人的交流などにより私たちの目的を達成できるものと考えます。
平成27年6月 NPO法人黄桜の宿 理事長 長谷山博昭